診療案内

外来診療体制

広島大学病院口腔顎顔面再建外科では、さまざまな口腔外科疾患に対して、他の医療機関からの紹介を中心に診療を行っています。特定機能病院である当院の特性上、紹介状の持参をお願いしております。詳しくは当院HPをご確認下さい。また、当科では手術件数の増加に伴い、外来の診療体制を変更しました。(初診の受付については変更ありません。)
外来小手術について、初診日当日は抜歯などの外科的処置は行いません。まず初診時に症状などを確認させていただき、改めて手術予約をお取りいただくようになりますのでご了承ください。

診療体制

診療時間 9:00~17:00
午後の診療は基本的には予約再診のみです
受付時間 8:40~11:00
急患、地域連携室を通じた予約初診患者はこの限りではありません

紹介状をお持ちでない方や、事前予約なしの方は、担当医・担当科の希望に添えない場合があります。

初診日 火・木曜日、
偶数日の金曜日の午前中
外来小手術 月〜金曜日 午後
(予約制)

外来担当医師

外来診療の担当医についての詳細は広島大学病院のホームページをご覧ください。

やむを得ない事情で担当医が不在の場合は別の医師が診察させていただく場合があります。

主な対象疾患と治療法

顎変形症

顎変形症とは、上顎骨や下顎骨あるいはそれら両者の大きさや形態、位置などの異常や上下顎間関係の異常などにより、顎顔面の形態異常や咬合異常を伴う疾患です。さらに、整容的な不調和や機能的な不調和をも伴います。そのため、一般的な矯正歯科治療のみでは十分な改善が見込めない症例に対しては、顎矯正手術を併用した外科的矯正治療が行われます。私たちは、さまざまな顎顔面の形態異常を呈する顎変形症の患者さんに対し、矯正歯科専門医と連携して治療に当たっています。
当科では3Dシミュレーションソフトを用いたcomputer assisted surgery(CAS)とCAD/CAMデバイスを用いて手術計画をたて、予知性と精度の高い治療を実践しています。また、高度な下顎頭吸収などさまざまな顎関節疾患や、口唇裂・口蓋裂など先天異常に伴う高難度症例、顎顔面の形態異常に起因する睡眠時無呼吸症候群の症例などの難症例に対しても幅広く対応しています。このため県内外問わず各地から患者さんを受け入れており、顎変形症治療のハイボリュームセンターとしての役割を果たしています。国内外の施設からの手術見学も随時受け入れて、交流を広めていますので、興味のある方はぜひご連絡ください。

移動前

移動後

特発性/進行性下顎頭吸収
(Idiopathic/Progressive Condylar Resorption: ICR/PCR)

近年、上顎前突症、開口症や顎偏位症例のなかに、下顎頭吸収が進行している病態に遭遇することが増加してきました。とくに、思春期の若年者に多い病態ですが、特発性あるいは進行性下顎頭吸収(Idiopathic Condylar Resorption / Progressive Condylar Resorption: ICR/PCR)と呼ばれています。実際、ICR/PCRは国の難治性疾患として登録されており、咬合治療や顎関節治療を専門に行っている口腔外科医も、診断や治療に悩み、難渋することが多い疾患です。
ICR/PCRの発症原因として、局所的には顎骨骨格形態や咬合異常、関節円板転位などの顎関節症、下顎頭の虚血性変化、顎骨への微小あるいは重大な外傷、外科的矯正治療の負荷などの要因があげられます。全身的には女性ホルモンの分泌異常などが報告されており、経年的に変形性顎関節症に移行します。病態は少し異なりますが、関節リウマチなどの自己免疫疾患にも下顎頭吸収は合併することがあります。
ICR/PCRは一度発症すると、その病態は不可逆的で、かつバーンアウト(吸収終了)するまで進行(骨吸収)が止まらないとされています。今までは外科的矯正治療や肋骨肋軟骨移植、2020年に診療報酬改定により保険収載された顎関節人工関節全置換術(Total Joint Replacement: TJR)あるいはこれらの組み合わせた治療が行われています。しかし、ここに示した全ての治療を行える施設は全国的にも限られているのが現状です。
広島大学病院口腔顎顔面再建外科は、下顎頭吸収の診断と治療、特に難症例への外科的治療に取り組んでおり、上記すべての治療を実施する施設基準を満たしています。

当科のICR/PCR等による
下顎頭吸収(変形)に対するStrategy

口腔腫瘍

舌・歯肉(歯ぐき)・頬粘膜・口底・口蓋(上あご)など、口腔内にできる悪性腫瘍を口腔がんといいます。これら口腔がんに対する治療は、外科療法を中心として放射線治療、抗がん剤による化学療法、免疫チェックポイント阻害薬による免疫療法があります。治療方法はがんの部位や大きさ、進展度に加え、患者さんの年齢や既往歴、合併症などの全身状態を考慮して決定する必要があります。当診療科では、がんの外科療法を中心として、放射線治療科やがん化学療法科などと連携しながら放射線治療や化学療法、免疫療法を組み合わせた集学的治療を提供し、良好な治療成績を得ています。特に高度進展例に対しては、確実な治療効果と機能温存を両立させるため、他診療科との合同カンファレンスで手術手技について活発な討議を行い、治療成績の向上と患者さんの早期の社会復帰に努めています。

インプラント

インプラント治療では、顎骨にチタン製のインプラント体を埋入し、それをもとに上部構造を作製することで失った歯を補います。
当科では口腔がんなどの口腔腫瘍の治療に伴い歯肉や顎骨とともに歯を喪失した症例や、口蓋裂などの先天疾患に伴う歯の欠損、高エネルギー外傷に伴う顎顔面の多発骨折後など、一般の歯科医院では対応が困難な症例にも対応し、咀嚼機能の回復を目的としたインプラント治療を行っています。
特に顎骨の喪失が大きく通常のインプラント治療では対応できない場合には、腸骨や腓骨などの自家骨を用いた骨移植や人工骨による骨造成を積極的に行っています。骨移植や骨造成は一般的なインプラント治療より大きな手術侵襲を伴い、手術後の合併症の管理が必要であるため、口腔外科の専門的知識と高度な治療技術が必要となります。
インプラント治療の成功は、単にインプラント体が骨と結合することではなく、インプラント体が長く機能し、口腔機能を高め健康寿命の延伸につなげることにあるとわれわれは考えています。当科では安心安全なインプラント治療を提供し、長期的な予後が良好であるように適切な診査診断を行い、治療技術の向上に努めています。

顔⾯外傷患者に対するインプラント治療
(腓⾻⽪弁移植術+インプラント⼿術)

術前画像検査

腓⾻⽪弁移植術

インプラント体埋⼊⼝蓋粘膜移植術後

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